文章理解
行政書士「文章理解」の問題
テレビの普及とともに方言は消えていく、と長らく言われてきた。放送は標準語で行われ、学校教育も標準語を基準とする。人の移動が増え、進学や就職で故郷を離れる人が多数になれば、通じやすい言葉が選ばれるのは自然の成り行きである。実際、伝統的な方言の語彙や発音は、世代を追うごとに確実に薄れている。言葉の〔 ア 〕は、既定の流れであるかに見える。
〔 イ 〕、現実の言葉の風景は、単純な一方通行ではない。方言は消えゆく一方で、新しい役割を獲得しつつあるからである。かつて方言は、公の場では恥ずかしいもの、矯正すべきものとされた時代があった。ところが今日、方言は親しみや温かみの表現として、広告や歌詞、日常の会話の中で積極的に選ばれることがある。故郷を離れた人にとって、方言は帰属のしるしであり、同郷の相手との距離を一気に縮める合言葉になる。同じ抑揚を耳にしただけで、遠い故郷の食卓や街角の空気が呼び覚まされることもある。標準語が情報を運ぶ言葉だとすれば、方言は関係を運ぶ言葉として生き直しているのである。
言葉は、通じればよいという道具である以上に、話し手が何者であるかを示す旗でもある。全国どこでも同じ言葉だけが話される社会は、便利ではあっても、土地ごとの記憶を失った社会である。方言の行方は、単なる言語の問題ではなく、均質化の時代に地域の個性をどう残すかという、社会全体の問いの縮図なのだ。言葉の風景の貧しさは、そのまま社会の風景の貧しさである。
本文中の空欄〔 ア 〕・〔 イ 〕に入る語句の組合せとして妥当なものはどれか。
1ア:多様化 イ:しかし
2ア:均質化 イ:そのため
3ア:高度化 イ:つまり
4ア:多様化 イ:ゆえに
5ア:均質化 イ:しかし
正解
5.ア:均質化 イ:しかし
アは方言が薄れ標準語に揃う流れの要約で均質化、イは既定の流れに対する反転で「しかし」が入る。
?選択肢ごとの解説
1 ×方言が薄れて標準語に揃っていく流れは多様化ではなく均質化。
2 ×イの後は既定の流れの帰結ではなく、それを覆す現実の提示。
3 ×言葉が高度になる話ではなく、イも言い換えの関係にない。
4 ×アが逆方向である上、イも順接ではない。
5 ○アは方言が薄れ標準語に揃う流れの要約で均質化、イは既定の流れに対する反転で「しかし」が入る。
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作成・校閲:ukamiru編集部 · 行政書士 過去問 · gyosei-kiso8-0045
