行政事件訴訟法:どの訴えで争うのかを決める
行政事件訴訟法の入門として、行政を相手に裁判で争う場面を、訴えの目的、対象となる行政行為、そして誰が争えるかという順で整理します。取消訴訟、処分性、原告適格を中心に、設問文の読み方を固める講義です。個別事件の判例結論や訴訟戦略には立ち入らず、令和8年4月1日基準の公式範囲に沿って全体像をつかみます。
動画の視聴は会員向けです要点
- まず裁判で何を求めるのかという目的を先に置く
- 次に争いの対象となる行政行為を特定する
- 取消訴訟では処分性の検討が入口になる
- 原告適格は誰が争えるかの問題として別に考える
判断のルール
- 名称だけでなく行為の法的な性質を見て対象を判断する
- 対象の問題と原告適格の問題を混同しない
- 個別の判例結論を勝手に一般化せず設問文に即して考える
- 細かな要件や最新情報が必要なときは受験年度の公式情報で確認する
例題
例題1例題1 対象となる行為を先に確かめる
市の担当課がAに対し、申請についての見通しを説明する文書を送った。Aはその内容に不満を持ち、取消訴訟で争いたいと考えた。まず最初に検討すべき点は何か。
答えまず、その文書が取消訴訟の対象となる行政行為か、つまり処分性を持つかを検討すべきです。
考え方取消訴訟では、いきなり違法性を論じるのではなく、何を取り消すのかという対象を特定する必要があります。文書の名称が説明や見通しにとどまるなら、直ちに処分といえるとは限りません。そこで最初の問いは、その文書が相手方の法的地位に関わる処分として扱えるかどうかです。
確かめ取消訴訟は対象選びが入口です。不満があること自体ではなく、争う対象に処分性があるかを最初に見ると確認しましょう。
例題2例題2 誰が争えるかは別に考える
ある行政庁の処分について、本人Bと、その結果を心配している友人Cがともに裁判で争いたいと言っている。このとき、BとCについて同じように扱わず、別に検討すべき論点は何か。
答えBとCそれぞれに原告適格があるかを別に検討すべきです。
考え方同じ処分を問題にしていても、訴えを提起できるかは各人ごとに判断します。行政行為の対象が一つでも、誰がその行為によって法律上保護された利益との関わりを持つかは異なるからです。本人Bと友人Cを一括して考えるのではなく、各人に原告適格があるかを切り分けて検討するのが基本です。
確かめ対象の有無と、誰が争えるかは別問題です。人物が複数出たら、原告適格を人ごとに分ける癖をつけましょう。
例題3例題3 目的・対象・原告の順で読む
Dは行政庁のある行為について『納得できないので裁判したい』と言うが、設問には行為の内容とDとの関係も書かれている。試験で安定して整理するための基本的な読む順序は何か。
答えまず何を求めるかという訴えの目的を確認し、次に対象となる行政行為を特定し、最後にDに原告適格があるかを検討します。
考え方行政事件訴訟法の設問では、知識を個別に思い出すより、読む順序を固定する方が整理しやすくなります。目的が定まらなければ訴えの型がぶれ、対象が定まらなければ処分性を論じられず、当事者との関係を見なければ原告適格も判断できません。したがって、目的、対象、原告の順が基本です。
確かめ迷ったときの型は三段階です。何を求めるか、何を争うか、誰が争うか。この順番を毎回同じにするのが得点につながります。
よくある間違い
行政庁が関わる行為なら何でも取消訴訟の対象になると考えてしまう
処分性の問題と原告適格の問題を一つにしてしまう
誰が不満を持っているかだけで原告適格があると早合点する
目的を確認せずに訴えの型を先に決めてしまう
この講で覚えること
まず裁判で何を求めるのかという目的を先に置く・次に争いの対象となる行政行為を特定する・取消訴訟では処分性の検討が入口になる
章立て
- 0:00導入
- 0:28中心概念
- 1:14重要用語
- 1:59基本ルール
- 2:19判断手順
- 2:51確認ケース1
- 3:26確認ケース2
- 4:35確認ケース3
- 5:37よくある誤り
- 6:55まとめ
いまの出題範囲では問われない論点
- 具体的な訴訟戦略、個別事件の判例結論、最新の裁判例は扱わない。
出題範囲の基準:行政書士・2026年度試験範囲(法令基準日 2026-04-01) 時点のシラバス。
登録は1分・クレジットカード不要。無料のまま練習・暗記カード・模試まで使えます。
