文章理解

行政書士文章理解」の問題

文章理解文章理解難易度:normal
翻訳とは、ある言語の文を別の言語の同じ意味の文に置き換える作業だと思われている。この見方の背後には、意味というものが言語から独立に存在していて、言語はその意味を運ぶ乗り物にすぎない、という前提がある。乗り物を替えても積み荷は変わらない、というわけである。 しかし、実際に翻訳に携わる者は、この前提が成り立たないことを日々思い知らされる。ある言語の挨拶の言葉には、その社会の人間関係の距離感が織り込まれている。別の言語にそれと完全に〔 ア 〕な表現を探しても、見つからないのが常である。意味は言語という乗り物から切り離せる積み荷ではなく、乗り物の形と一体になっているのだ。だから翻訳者は、何かを必ず取りこぼしながら、それでも最も大切なものは何かを判断し、選び取っていくことになる。翻訳とは置き換えではなく、解釈と決断の連続なのである。同じ一文でも、訳す者が違えば別の顔を見せるのは、そのためである。 〔 イ 〕、翻訳を不完全な営みとして嘆く必要はない。完全な翻訳が原理的に不可能であるからこそ、同じ原作に幾通りもの翻訳が生まれ、それぞれが原作の異なる面を照らし出す。翻訳の失われる部分ばかりが語られがちだが、翻訳によって新たに見えてくるものもある。異なる言語の間に立って、伝わらないものと格闘する経験は、自分の言語の輪郭を知る経験でもある。翻訳の不可能性は、言語の貧しさの証明ではなく、それぞれの言語の豊かさの裏返しなのだ。翻訳は、言語と言語の間に架けられる、完成することのない橋である。 本文中の空欄〔 ア 〕・〔 イ 〕に入る語句の組合せとして妥当なものはどれか。
1ア:異質 イ:しかし
2ア:等価 イ:しかし
3ア:等価 イ:ゆえに
4ア:簡潔 イ:つまり
5ア:異質 イ:さらに
正解
2.ア:等価 イ:しかし

アは「同じ意味の文への置き換え」という冒頭の定義を受けて等価、イは限界の指摘から擁護へ反転する「しかし」が入る。

?選択肢ごとの解説

1 ×探しているのは同じ意味の表現であり、異質な表現ではない。
2 ○アは「同じ意味の文への置き換え」という冒頭の定義を受けて等価、イは限界の指摘から擁護へ反転する「しかし」が入る。
3 ×イの前は翻訳の限界、後はその肯定的評価であり、順接ではつながらない。
4 ×簡潔さは論点でなく、イも要約の関係にない。
5 ×アが逆方向である上、イも追加ではなく反転の接続が必要。

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作成・校閲:ukamiru編集部 · 行政書士 過去問 · gyosei-kiso8-0032

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