第8講会員向け7:19

物権:誰が何を主張できるかを地図にする

民法の物権分野について、対象物の特定、所有権と占有の区別、当事者と第三者の切り分け、対抗の見方を整理する講義です。登記実務や個別判例暗記には入らず、事例で誰が何を主張できるかを図解して考える基本を身につけます。令和8年4月1日基準の民法を前提に、細かな点は受験年度の公式情報で確認する姿勢も示します。

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要点

  1. まず争いの対象物を一つずつ特定する
  2. 所有権と占有は同じではないと意識する
  3. 当事者と第三者を分けて配置する
  4. 対抗は誰に向けた主張かを明確にする
  5. 図で整理した後に一文で権利主張を表す

判断のルール

  • 対象物、人物、主張内容の三点を必ずそろえて考える
  • 現実に持っている事実と法的に権利があるかを区別する
  • 第三者が出たら、どの立場で関与したかを書き出す
  • 条文番号や細かな要件が必要な場面は受験年度の公式情報で確認する

例題

例題1例題1 対象物を特定して関係を分ける

Aは一台の机について自分が所有者だと考えている。いま机はBの部屋にあり、Bが使っている。このとき、最初にどのように整理して考えるべきか。

答え対象物を机一台に特定し、Aは所有権を主張する立場、Bは占有している立場として分けて整理する。

考え方物権の事例では、先に争いの対象物を一つに定める必要がある。本問では机一台が対象物である。次に、Aが主張しているのは『自分のものだ』という所有権の問題であり、Bについて問題文から直ちにいえるのは『机を使っている』という占有の事実である。所有と占有は同じではないため、両者を分けて配置するのが基本となる。

確かめ『誰のものか』と『誰が持っているか』を別々に書けているかを確認する。

例題2例題2 第三者が出たら向き先を確認する

AとBの間で、ある自転車が誰のものかが問題になっていた。途中でCが現れ、その自転車は自分に関係すると述べた。このとき、答案でまず示すべき整理は何か。

答えAとBの当事者関係を先に整理し、そのうえでCが第三者としてどの自転車に、どの立場で関わるかを示すべきである。

考え方人物が増えると、争点を混ぜやすくなる。そこで、まず対象物を自転車一台に固定し、AとBの関係を整理する。その後でCを第三者として追加し、Cが同じ自転車について利害関係を持つのかを確認する。ここで重要なのは、単に『第三者がいる』と書くのではなく、誰に対してどの権利主張が向かうのかを明確にすることである。

確かめ第三者という言葉だけで終わらず、対象物と相手方を書けているかを確認する。

例題3例題3 記述式の土台として一文にまとめる

Aは、箱一つについて自分が所有者だと考えている。箱は現在Bが持っている。記述式の土台として、誰が誰に何を主張するのかを40字程度でどうまとめるか。

答えAはBに対し、その箱について自己の所有権を主張する。

考え方記述式の基礎では、結論、必要な事実、要件、効果のうち、まず結論部分を簡潔に示す練習が重要である。本問では対象物は箱一つ、Aは所有権を主張する側、Bは現在の占有者である。細かな法律効果を広げず、本講の範囲に従って『誰が誰に対し、何の権利を主張するか』を一文にするのが適切である。

確かめ対象物、主張者、相手方、権利内容の四つが一文に入っているかを確認する。

よくある間違い

対象物が複数あるのに一まとめにしてしまう

占有している人をそのまま所有者だと決めつける

第三者の有無を確認せずに結論へ進む

対抗を抽象語として覚え、相手方を示さない

図で整理せず、人物関係を文章だけで追って混乱する

この講で覚えること

まず争いの対象物を一つずつ特定する・所有権と占有は同じではないと意識する・当事者と第三者を分けて配置する

章立て

  1. 0:00導入
  2. 0:25中心概念
  3. 1:15重要用語
  4. 2:00基本ルール
  5. 2:25判断手順
  6. 2:54確認ケース1
  7. 3:21確認ケース2
  8. 4:27確認ケース3
  9. 5:33よくある誤り
  10. 6:40まとめ

いまの出題範囲では問われない論点

  • 登記実務、物件ごとの手続、個別判例の暗記は扱わない。

出題範囲の基準:行政書士・2026年度試験範囲(法令基準日 2026-04-01) 時点のシラバス。

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