文章理解
行政書士「文章理解」の問題
報道は世界をありのままに伝える窓である、と考えるのは素朴にすぎる。カメラをどこに向け、どの発言を引用し、どの出来事を一面に載せるか。報道とは選択の連続であり、選択とは捨てることである。世界で起きる無数の出来事のうち、ニュースになるのはごく一部にすぎない。私たちが「今日の世界」として受け取っているものは、実は幾重もの〔 ア 〕を経て組み立てられた構成物なのである。紙面の大きさにも放送の時間にも限りがある以上、この取捨は避けられない宿命でもある。
このことは、報道が噓をついているという意味ではない。個々の事実は正確であっても、何を取り上げ何を取り上げないかという判断の水準で、すでに一つの解釈が働いている。同じ集会を報じるにも、演壇を写すか、まばらな客席を写すかで、伝わる印象はまるで違う。事実の集積が自動的に真実になるわけではないのだ。報じる者の誠実さとは、選択がないと装うことではなく、選択の存在を自覚し続けることにある。
〔 イ 〕、受け手に求められるのは、報道を疑って捨てることではなく、構成物として読む技術である。誰が、どの立場から、何を選んだのか。取り上げられなかったものは何か。複数の報道を突き合わせると、それぞれの選択の癖が浮かび上がってくる。窓の外を直接見ることができない以上、私たちにできるのは、窓枠の存在を忘れないことである。窓枠を意識したとき、はじめて窓は世界を見るための道具になる。複数の窓を持つ者ほど、世界の像は立体的になるのである。
本文中の空欄〔 ア 〕・〔 イ 〕に入る語句の組合せとして妥当なものはどれか。
1ア:検閲 イ:それゆえ
2ア:編集 イ:ところが
3ア:偶然 イ:つまり
4ア:編集 イ:それゆえ
5ア:検閲 イ:しかし
正解
4.ア:編集 イ:それゆえ
アは「選択の連続」を経た組み立てを指す編集、イは前段の帰結として受け手の課題を導く「それゆえ」が入る。
?選択肢ごとの解説
1 ×本文の選択は報道に内在する通常の判断であり、権力による検閲の話ではない。
2 ×イの前後は逆接ではなく、前段の指摘から受け手の課題を導く順接の関係。
3 ×選択の連続という本文の説明と偶然は正反対。
4 ○アは「選択の連続」を経た組み立てを指す編集、イは前段の帰結として受け手の課題を導く「それゆえ」が入る。
5 ×アが文脈より強すぎる語である上、イも逆接ではない。
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作成・校閲:ukamiru編集部 · 行政書士 過去問 · gyosei-kiso8-0024
